触れたい
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以下、アニバサ弐第7巻を見ていないと分かり辛いかもしれません。不親切ですみません。 それでも良いよ、って方はスクロールお願いします。 触れたい。 戦場での触れ合いはかきんと冷たい音を立てる互いの獲物だけ。 もう少しで鼻先が触れ合うのに、アイツの熱は感じるのに。 腹の底から出される声は呼気と共にこの身を巡るのに。 己自身がアイツに触れたことは一度として、ない。 ◆◇◆◇◆◇◆ 奥州の民のことと戦場で見かける紅のこと。 日の本を統一するための戦法と目に焼きついた紅蓮の鬼のこと。 毎日考えることはほぼ同じ。 夢にまであの紅は遠慮なく出てくる始末。 ただ、触れたい。 触れたい触れたい触れたい触れたい触れたい触れたい触れたい。 アイツの指先に触れて、手を握って晒された細い腰を抱き寄せてはねた髪に指を絡めて丸みを帯びた頬に掌を当ててぷくりと膨れた唇を重ねて。 思う様貪って骨が軋むくらい抱きしめて普段は晒されない肌を撫でまわして舐めまわしてアイツから洩れるものは涙も声も何もかも己の口で吸いとって。 アイツの一番深い所に入り込んで声が枯れるまで涸れるまで泣かせて鳴かせて啼かせて一滴残らずアイツに注ぎ込んでアイツを満たして溢れさせて。 連れ帰って閉じ込めて己以外見せず関わらせず世界の全てを己で埋め尽くし昼夜を問わず己を与えて貪って己のこと以外考えられないように思考すら奪って。 己無しでは生きていけないようになればいい。 それはまるで狂気にも似た願望。 ◆◇◆◇◆◇◆ 不意に差し出された掌。 願い過ぎた幻かと目を疑っているうちに握手を求め出されたそれは苦笑と共に僅かに引かれた。 己らしくもなく慌ててその手を握りしめれば自然に上がる口元。籠手越しに伝わる熱に目眩がしそうだった。 触れたくて仕方無かった熱を実際に感じたら、毎日考えていたことが全て吹っ飛んだ。じわじわと侵食する熱に全てを奪われ体中に歓喜が満ちる。 挑むような視線と笑みに、満足してしまった。心が満たされてしまった。 ◆◇◆◇◆◇◆ 武田から奥州へと伊達軍が戻って数日。 戻ってから頭に花が咲いたかのように上機嫌だった奥州筆頭は今、暗雲を背中に漂わせながら項垂れていた。 「…なんであの時籠手外さなかったんだ…。いや、なんであの時あのまま攫って来なかったんだ…!!shit!オレとしたことが幸村の笑顔だけで満足しちまうなんざどうかしていたとしか思えねぇ!!…ああでもあん時の幸村、可愛かったよなぁ…」 「花畑からの御帰還、大変喜ばしく思います。さ、その籠手をお出しください。洗濯しないと臭いまするぞ」 「Bullshit!!これは一生洗わせねぇ!!これは竜の宝だ!」 「貴方様の宝は奥州の民では無かったのですか…」 籠手を握りしめそのまま懐に入れる主に溜息を吐きつつ、再び花畑へと向かいそうな政宗をどうやって引き戻すか頭を悩ませる右目の姿が見られたとか。 |
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BASARA弐7巻に滾ってたらこんなんが出来ました。
筆頭が変態すぎてすみません…
寧ろ病んでてすみません…
そして結局へたれですみません…
武田漢祭り見てなかったら良く分からないSSですみません…(汗)